およそ日刊「俳句新空間」
-BLOG俳句新空間‐編集による日替詩歌鑑賞
今までの執筆者:竹岡一郎・仮屋賢一・青山茂根・黒岩徳将・今泉礼奈・佐藤りえ・北川美美・依光陽子・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々・渡邉美保
2015年8月26日水曜日
目はまるで手のように言葉に触れる 20[石橋辰之助]/ 依光陽子
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汗ばみし掌の散弾を菊にうつ 石橋辰之助 「心象風景」と題された連作の中の一句。散弾を握る手が汗ばんできて掌をひらく。ぬめりを帯びた幾つかの散弾がある。再び握りしめたそれを眼前の菊にうつ。銃に込めることなく、擲つ。うたれた散弾は菊を打ち、あるいは掠め、あるいは掠めもせ...
2015年8月25日火曜日
人外句境 18 [北大路翼] / 佐藤りえ
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骨壺を抱いてゐさうな日傘かな 北大路翼 日傘は「専ら女性がさすもの」と書かれた歳時記がある。ここでも女性のさしている傘と思いたい。 古日傘われからひとを捨てしかな 稲垣きくの という句があり、 まへをゆく日傘のをんな羨しかりあをき蛍のくびすぢをして ...
2015年8月20日木曜日
またたくきざはし3 [関悦史] / 竹岡一郎
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誰よりの電話か滝の音のみす 関悦史 電話が鳴ったので、取ったのだが、声がない。もしもしと問いかけても返事がない。ただ滝の音だけが延々と聞こえてくるのである。これが4分33秒続けば、ジョン・ケージの最良の曲となろう。 滝が電話を掛ける訳はないので、向こうに...
2015年8月18日火曜日
人外句境 17 [中山奈々] / 佐藤りえ
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防湿のパンドラの匣百日紅 中山奈々 そもそも、プロメテウスが火を盗まなければ、パンドラの箱とパンドラはエピメテウスの元に差し使われることもなかったのか。そんなこともなかろう、と思う。嫉妬深く、「いらんことしい」のゼウスのことである。そうでなくとも何か別の機会に、なん...
2015年8月11日火曜日
人外句境 16 [松本てふこ] / 佐藤りえ
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雪女ヘテロの国を凍らせて 松本てふこ 「わたしの雪女」と題された連作からの一句。タイトルおよび〈女による女のための雪女〉〈きみはいつも男のもので雪女〉といった句から、女性同士の恋愛をベースとした作品世界が見えてくる。評者は日本(しかも昭和後期から平成にかけての)にしか...
2015年8月5日水曜日
目はまるで手のように言葉に触れる 19[軽部烏頭子]/ 依光陽子
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みとりゐの蚊帳つられあり白き蚊帳 軽部烏頭子 「みとり」と題された連作の中の一句目。連作を総括した次のような前書きがある。 < 託されたるみどりごのいのちあやふければとて或夜修道院に聘かれける > 修道院に託された嬰児。この子は、この世に生まれた祝福も...
2015年8月2日日曜日
今日のクロイワ 29 [山口昭男] / 黒岩徳将
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波音の虞美人草でありにけり 山口昭男 「鍛錬会二句」という前書きで、「竹林の今日しづかなる早苗かな」と共に掲載されている。シンプルかつ挑戦している文体だ。「波音の」とあることから、虞美人草がまるで波音がないと存在しないかのような気がしている。あの茎の頼りなさからも、波音...
2015年7月26日日曜日
今日のクロイワ 28 [曾根 毅] / 黒岩徳将
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万緑や行方不明の帽子たち 曾根 毅 実は私も、数ヶ月ほど前、買ったばかりの帽子を失くした。それは極めて個人的な体験なのだが、掲句は森か林の中で帽子を失くしてしまったのだろう。そこで、「私のように帽子を失った人がこの世界には…」と考えている。個人的な事象から全体の問題...
2015年7月24日金曜日
黄金をたたく22 [池田澄子] / 北川美美
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プルヌス・フロリドラ・ミヨシに間に合いし 池田澄子 些か時期的に遅い掲出になってしまったが、豈57号で気になっていた句である。知識が無い上で鑑賞してみると、この「プルヌス・フロリドラ・ミヨシ」が謎である上、眼目である。何故これが気になるのか…、それは、語感、音感なのだ...
2015年7月23日木曜日
処女林をめぐる 4 [森澄雄] / 大塚凱
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かんがへのまとまらぬゆゑ雪をまつ 森澄雄 僕がかんがえている。いったいなにをかんがえているのか。なにをかんがえるべきなのだろうか。 そもそも、なにをかんがえていたんだっけ。かんがえるということは、しばしば、かんがえるということをかんがえさせてしまう。そうしているう...
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