およそ日刊「俳句新空間」
-BLOG俳句新空間‐編集による日替詩歌鑑賞
今までの執筆者:竹岡一郎・仮屋賢一・青山茂根・黒岩徳将・今泉礼奈・佐藤りえ・北川美美・依光陽子・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々・渡邉美保
2017年11月30日木曜日
DAZZLEHAIKU15[友岡子郷]渡邉美保
›
掛け大根より白波の船現るる 友岡子郷 掛け大根の白と白波の白。 一句の中では白い色のみが述べられているが、そこには澄み渡る青い空、遠く広がる青い海原、青を背景にして、白の際立つ光景が目に浮かぶ。冬の冷たい空気の中で、青と白の対比がとても美しく、清々しい。 最近...
2017年11月14日火曜日
DAZZLEHAIKU14[友岡子郷]渡邉美保
›
文手渡すやうに寄せくる小春波 友岡子郷 冬に入ったとはいえ、春のように暖かい小春日和。うららかな空、うららかな日ざしのもと、海岸にいると、波は一定の間隔を置きながら、ゆったりと寄せてはかえす。次から次へと畳みかけてくる波の様子が目に浮かぶ。その単調で、静かな...
2017年10月22日日曜日
DAZZLEHAIKU13[杉山久子]渡邉美保
›
縞縞の徹頭徹尾秋の蛇 杉山久子 琵琶湖周辺の里山を歩いているとき「蛇がいる」という声を聞いた。近寄ってみると、縦縞の蛇が草の中に横たわっていた。人の足音や人声にも動く気配がない。ぱっちりと開いた目の周りには、蠅が集っている。その蛇は死んでいた。 掲句、「徹...
2017年10月13日金曜日
超不思議な短詩239[野口る理]/柳本々々
›
チャーリー・ブラウンの巻き毛に幸せな雪 野口る理 前にも書いたが、俳句とは、世界のアクセスポイントをさぐる試みでもあるのではないかと思っていて、たとえば、 おおかみに蛍が一つ付いていた 金子兜太 本の山くづれて遠き海に鮫 小澤實 「おおかみ...
2017年10月11日水曜日
超不思議な短詩238[岡崎京子]/柳本々々
›
いつも一人の女の子のことを書こうと思っている。いつも。たった一人の。一人ぼっちの。一人の女の子の落ち方というものを。 岡崎京子 「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」の図録『岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ』に寄せた文章のなかで小沢健二は次のように書いている。 ...
超不思議な短詩237[高山れおな]/柳本々々
›
ムーミンはムーミン谷に住んでいる 高山れおな 「ムーミンはムーミン谷に住んでいる」というのはほんとうにそのままであるのだが、しかし、誰かが・どこかに・住んでいる、ということ、誰かが・どこかにいざるをえないということとは、そのことを句にするだけで意味生成の現場になるこ...
超不思議な短詩236[星野源]/柳本々々
›
夫婦を超えてゆけ/2人を超えてゆけ/1人を超えてゆけ 星野源 最近星野源の「恋」の歌詞「夫婦を超えてゆけ/2人を超えてゆけ」について考えていて、これは漱石『門』の、 宗助と御米とは仲の好い夫婦に違なかった。いっしょになってから今日(こんにち)まで六年ほど...
2017年10月6日金曜日
超不思議な短詩235[オクタビオ・パス]/柳本々々
›
しばしば、連歌は日本人に対し、自分自身から脱出する可能性、孤立した個人の無名性から、交換と承認が形づくる円環へと転じる可能性を提供したのではないかと思われる。 オクタビオ・パス 今年の夏に青森の川柳ステーションに呼ばれたときに、ある方から連歌(連句)に誘っていただい...
超不思議な短詩234[福田若之]/柳本々々
›
春はすぐそこだけどパスワードが違う 福田若之 ときどき、俳句のなかのアクセス不能、というものについて考えている。いや、というよりも、この福田さんの句をはじめてみたときに、俳句にはアクセス不能というテーマがあるように知ったのかもしれない。 当たり前のことだけれど、...
2017年10月5日木曜日
DAZZLEHAIKU12[山口昭男]渡邉美保
›
鎌の刃に露草の花のつてゐる 山口昭男 鎌の刃と聞くとなんとなく心がざわめく。三日月のような湾曲した形と、刃はつねに自分に向かってくるという怖さがある。だが本来、鎌は、草を刈ったり、作物を収穫するために日常的に用いられる農具である。刈った草が刃の上に乗り、その...
‹
›
ホーム
ウェブ バージョンを表示