およそ日刊「俳句新空間」
-BLOG俳句新空間‐編集による日替詩歌鑑賞
今までの執筆者:竹岡一郎・仮屋賢一・青山茂根・黒岩徳将・今泉礼奈・佐藤りえ・北川美美・依光陽子・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々・渡邉美保
2018年4月28日土曜日
DAZZLEHAIKU22[白石正人]渡邉美保
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ぎしぎしやひとり登れば皆登り 白石正人 本格的な登山というよりは、里山、野原や川辺を散策しているときだろうか。誰かが小高い所へ登り始めると、皆も登る。自由な散策なのだから後に続かなくてもいいのにと思うのだが、ついついつられて登る。 誰もがしそうな、ありふれた光景だ...
2018年3月21日水曜日
DAZZLEHAIKU21[長谷川耿人]渡邉美保
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カンダタの糸が降りさう杭の蜷 長谷川耿人 [或る日のことでございます。御釋迦様は極樂の蓮池のふちを、獨りでぶらぶら御歩きになつていらつしやいました。] こんな書き出しで始まる芥川龍之介の『蜘蛛の糸』に登場するカンダタ(犍陀多)。 地獄の底で蠢いている犍陀...
2018年3月8日木曜日
DAZZLEHAIKU20[市川薹子]渡邉美保
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人を呼ぶ手の中にあり蕗の薹 市川薹子 まだ風の冷たい早春の野山で、思いがけなく蕗の薹を発見。その嬉しさには格別のものがある。土中からもたげる萌黄色の花茎は、ふっくらと膨らみ、手に乗せると、自然界から贈られたお雛様の風情がある。待ちかねていた春の訪れを実感させてくれる。 ...
2018年2月19日月曜日
DAZZLEHAIKU19[岩淵喜代子]渡邉美保
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飴舐めて影の裸木影の塔 岩淵喜代子 飴、裸木、塔からの連想で、吟行中の一齣を想像した。 散策に疲れ近くのベンチに腰を下ろす。飴を含み、口中にひろがる甘味にほっと一息をつく。冬空のもと、葉を落とした裸の木々は、枝枝とその蔭が重なり合い、美しい模様を描いている...
2018年1月26日金曜日
DAZZLEHAIKU18[山口昭男]渡邉美保
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今をゆく大きな雲や年酒酌む 山口昭男 新しい年が巡ってきたことを寿ぐお酒、年酒を酌む景はさまざまだ。親族一同集まっての賑やかな年酒もあれば、少人数でしみじみ酌み交わす酒もある。 掲句では、年酒を酌む様子は一切述べられていないけれど、新年のめでたさや華やかさとは別...
2018年1月16日火曜日
DAZZLEHAIKU17[岩田由美]渡邉美保
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くひちがふあり枯蓮とその影と 岩田由美 冬の日を浴びて、枯蓮は水面にそれぞれの影を落としている。枯れた蓮の茎や葉、朽ちた花托などが残骸のように残っている姿は痛々しいが、青空と枯蓮と、水面に映る影が織りなす造形は現代アートのような面白さがある。 掲句、そんな...
2017年12月18日月曜日
DAZZLEHAIKU16[安田中彦]渡邉美保
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死にぎはの鯨見にゆく日曜日 安田中彦 何らかの理由により浅瀬や湾などの海浜に、生きたまま乗り上げた鯨のことを座礁鯨、あるいは寄り鯨というそうだ。 どこそこの海岸に鯨が迷い込んできたというニュースをたまに聞くことがある。そういった鯨は、人の手で外海に戻そうとしても生き延びる...
2017年11月30日木曜日
DAZZLEHAIKU15[友岡子郷]渡邉美保
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掛け大根より白波の船現るる 友岡子郷 掛け大根の白と白波の白。 一句の中では白い色のみが述べられているが、そこには澄み渡る青い空、遠く広がる青い海原、青を背景にして、白の際立つ光景が目に浮かぶ。冬の冷たい空気の中で、青と白の対比がとても美しく、清々しい。 最近...
2017年11月14日火曜日
DAZZLEHAIKU14[友岡子郷]渡邉美保
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文手渡すやうに寄せくる小春波 友岡子郷 冬に入ったとはいえ、春のように暖かい小春日和。うららかな空、うららかな日ざしのもと、海岸にいると、波は一定の間隔を置きながら、ゆったりと寄せてはかえす。次から次へと畳みかけてくる波の様子が目に浮かぶ。その単調で、静かな...
2017年10月22日日曜日
DAZZLEHAIKU13[杉山久子]渡邉美保
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縞縞の徹頭徹尾秋の蛇 杉山久子 琵琶湖周辺の里山を歩いているとき「蛇がいる」という声を聞いた。近寄ってみると、縦縞の蛇が草の中に横たわっていた。人の足音や人声にも動く気配がない。ぱっちりと開いた目の周りには、蠅が集っている。その蛇は死んでいた。 掲句、「徹...
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