およそ日刊「俳句新空間」
-BLOG俳句新空間‐編集による日替詩歌鑑賞
今までの執筆者:竹岡一郎・仮屋賢一・青山茂根・黒岩徳将・今泉礼奈・佐藤りえ・北川美美・依光陽子・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々・渡邉美保
2022年1月4日火曜日
DAZZLEHAIKU60[井越芳子] 渡邉美保
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山寺の冬空を掃く音と思ふ 井越芳子 句会の兼題に「思う」が出されたことがある。句会メンバーの一人から異議が唱えられた。俳句は思っていることを書くのだから、句の中に「思う」を入れるのは如何なものかという趣旨だった。わざわざ「思う」を一句の中に入れなくてもよいという意見...
2021年11月20日土曜日
DAZZLEHAIKU59[茅根知子] 渡邉美保
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突堤の先が冬日の中に消ゆ 茅根知子 海に突き出た突堤は、どこよりも海を近くに感じられる場所だと思う。潮風に吹かれながら、打ち寄せる波音を聴きながら、散歩をしたり、釣りをしたり。海に沈む夕日を眺める絶好のスポットでもある。 さて、掲句。突堤の先が冬日の中に消える(消...
2021年10月15日金曜日
DAZZLEHAIKU58[岡田一実] 渡邉美保
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熊ん蜂釣船草に頭を深く 岡田一実 野山を歩いていて、ふだんあまり見ることのできない草花に出会うと、思わず興奮してしまうことがある。 〈釣船草〉もそういう花のひとつだと思う。 山麓の湿地や小川の縁に自生。花の様子が、吊り下げられた帆掛け船に似ていることから付けられ...
2021年9月4日土曜日
DAZZLEHAIKU57[津川絵里子] 渡邉美保
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暮れかかる空が蜻蛉の翅の中 津川絵里子 夕方、シオカラトンボが一匹、ツーとやって来て、自転車の荷台の上に留まった。すぐに飛んで行ってしまったが、透き通ったその翅は空の色をそのまま映していた。 〈とんぼの はねは そらの いろ そらまで とびたいからかしら 〉 (「と...
2021年8月5日木曜日
DAZZLEHAIKU56[石井清吾] 渡邉美保
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リール巻く傍に青鷺従へて 石井清吾 釣りの一場面、〈リール巻く〉は竿にアタリがあり「きた、きた、きた」とばかりに、今しも魚を引き上げようとしている瞬間なのだろうか。傍に従えているのが〈青鷺〉というのがなんともユーモラスである。青鷺はたまたま近くにいただけで(従者...
2021年6月27日日曜日
DAZZLEHAIKU55[内田美紗] 渡邉美保
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昼寝覚この世の水をラッパ飲み 内田美紗 昼寝覚めには、朝の目覚めとは違う、独特の感覚がつきまとう。 夏の暑さの中で、元気回復によいとされている昼寝であるが、二、三十分のつもりが一時間以上寝てしまい、妙にだるさが残ることがある。目覚めてしばらくはぼうっとし...
2021年5月28日金曜日
DAZZLEHAIKU54[川嶋一美] 渡邉美保
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蛇が身を解くころあひ春の闇 川嶋一美 以前、冬眠中の蛇の巣穴を、掘り起こしたという人の話を聞いたことがある。仕事中の偶然の出来事だったそうだが、何匹もの蛇が縺れ合い、ひと固まりに丸まっていてギョッとしたという。掘り起こされた蛇たちにとってはいい迷惑だったに違いな...
2021年3月25日木曜日
DAZZLEHAIKU53 [岡田耕治] 渡邉美保
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家中に草のびている朝寝かな 岡田耕治 「朝寝」は一年中することだけれど、春の朝の寝心地は格別。春の季語である。 この季節、一度目が覚めてから、またとろとろと眠る時間はどうしてあんなに心地よいのだろう。目覚時計のベルを止めてほんの数分と思っていたら、数十分過ぎて...
2021年2月16日火曜日
DAZZLEHAIKU52[北川美美] 渡邉美保
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囀りの後の羽音と枝の揺れ 北川美美 庭の白梅が咲き始めると鳥たちがやって来る。チチチ、チュチュチュ…まだ冷たい朝の空気の中、鳥たちの羽音や鳴き声で目が覚める。 〈囀りと聞きとめしとき目覚めけり 林翔〉 その声を聞きながら、しばしまどろむ。早春の朝のたの...
2021年1月14日木曜日
DAZZLEHAIKU51[谷口智行] 渡邉美保
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神ときに草をよそほふ冬の月 谷口智行 青白い冬の月が、透きとおる大気の中で輝いている。 透徹した空気のため刺すような寒さが感じらる月はさびしく、美しい。 そんな時、風や樹や山に宿る神々も、大地が恋しくなるのだろうか。そして 荒ぶる神々も、「ときに草をよそほふ...
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