およそ日刊「俳句新空間」
-BLOG俳句新空間‐編集による日替詩歌鑑賞
今までの執筆者:竹岡一郎・仮屋賢一・青山茂根・黒岩徳将・今泉礼奈・佐藤りえ・北川美美・依光陽子・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々・渡邉美保
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ImaizumiRena(今泉礼奈)
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2014年12月31日水曜日
身体をよむ 5 [桂信子] 今泉礼奈
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香水の香の内側に安眠す 桂信子 香水の香りに包まれながら、眠りにつく。円を描いているかのような、やわらかさがある句だ。 しかし、「香水」というものは、外出時に使うものではないか。自分のため、というより、他人のため、に使うものだと思う。それを自分の、しかも眠りにつくため...
2014年12月25日木曜日
身体をよむ 4 [桂信子] 今泉礼奈
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生きもののすれ違ふ眼や冬霞 桂信子 ライオンなど、激しい動物が互いに睨み合ってすれ違う、戦いの前を思った。しかし、私たちも「生きもの」のひとつである。すれ違うときに、いつも、睨み合っているわけではない。(というか、睨むことなんてめったにない。)すれ違う相手をチラっと見た...
2014年12月13日土曜日
身体をよむ 3 [桂信子] 今泉礼奈
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壁うつす鏡に風邪の身を入れる 桂信子 姿見ほどの大きい鏡を思った。そこには壁が、それはもう置いたときからずっと映りこんでいる。そして、その鏡の前に立つと、風邪のため弱っている自分がいた。自分じゃないような、でも自分だという、すこし寂しい気分になる。 「身を入れる」とい...
2014年12月8日月曜日
身体をよむ 2 [桂信子] 今泉礼奈
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月の中透きとほる身をもたずして 桂信子 月の光に透きとおりたいのだろうか。それとも、そんな身を月に申し訳なく思っているのだろうか。月の美しさの前に、どうすることもできない自分を詠んでいる。 桂信子の句には、やはり、夫を亡くした悲しみが底に流れているようなものが多く...
2014年12月2日火曜日
身体をよむ1 [桂信子] 今泉礼奈
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ひとごゑのなかのひと日の風邪ごこち 桂信子 リフレインの気持ちよさに反して、何ともすっきりしない風邪のときの気分を詠んだ句。 夜、今日の一日をふり返る。電車に乗ったこと、授業を受けたこと、友だちと話したこと。その内容に意識が奪われがちだが、確かに。一日は人の声で溢...
2014年12月1日月曜日
執筆者紹介
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下記メンバーにて詩歌を鑑賞します。 ● 竹岡一郎(たけおか・いちろう) 昭和38年8月生れ。平成4年、俳句結社「鷹」入会。平成5年、鷹エッセイ賞。平成7年、鷹新人賞。同年、鷹同人。平成19年、鷹俳句賞。平成26年、鷹月光集同人。現代俳句評論賞受賞。著書句集「蜂の巣マシ...
執筆者紹介
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下記メンバーにて詩歌を鑑賞します。 ● 竹岡一郎(たけおか・いちろう) 昭和38年8月生れ。平成4年、俳句結社「鷹」入会。平成5年、鷹エッセイ賞。平成7年、鷹新人賞。同年、鷹同人。平成19年、鷹俳句賞。平成26年、鷹月光集同人。現代俳句評論賞受賞。著書句集「蜂の巣マシ...
2014年11月26日水曜日
鴇田智哉句集『凧と円柱』を読む 5 /今泉礼奈
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菜の花と合はさるやうに擦れちがふ 鴇田智哉 菜の花の黄色が、パッと目に入ってくる。その黄色を見ながらその方へと歩いていたら、もしかしたら合わさってしまうのではないか、と一瞬思った。次元を越えた不思議な感覚に陥る。しかし、実際には擦れちがっただけであった。 「やう...
2014年11月20日木曜日
鴇田智哉句集『凧と円柱』より 4 /今泉礼奈
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近い日傘と遠い日傘とちかちかす 鴇田智哉 近い日傘、と、遠い日傘というものは、なんともはっきりとしない言い方だ。しかし、この曖昧さに景はどんどん膨らんでいく。わたしは、「近い日傘」とは、直前を歩いている人の日傘、「遠い日傘」とはさらに距離を置いて前を歩いている人のもの...
2014年11月14日金曜日
鴇田智哉句集『凧と円柱』を読む 3 /今泉礼奈
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囀の奥へと腕を引つぱらる 鴇田智哉 すこし不思議な句。(おそらく人間だが)何に腕を引っぱられたか、主語がなく、この句の構成だと、囀に引っぱられたかのようだ。おそらく、何者かによって腕を引っぱられ、そのとき、視覚でその先を確認するよりも前に、聴覚が囀を感じとったのだろう。...
2014年11月8日土曜日
鴇田智哉句集『凧と円柱』を読む 2 / 今泉礼奈
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歯にあたる歯があり蓮は枯れにけり 鴇田智哉 自分の身体の中で起きていることと、目の前で起きていることを取り合わせている。まず、「歯にあたる歯があり」だが、これは一見、視覚情報によるものだと思わせる書き方をしている。しかし、実際は触覚(と言えるかどうか微妙だが)情...
2014年11月3日月曜日
鴇田智哉句集『凧と円柱』より 1 / 今泉礼奈
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すりぬける蜥蜴の縞の流れかな 鴇田智哉 止まる、うごく、止まるを絶妙な時間感覚をもって繰り返すのが、蜥蜴である。ここでは、その中の、うごく、が急にはじまっている。そのとき作者は、驚きとともに、蜥蜴の縞模様に流れを感じたのだ。 蜥蜴の独特な色と模様が、読者の頭の中...
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