【101、高屋窓秋さんとカラー】
頭の中が極彩色の夏野となっていく
【102、まひろさんと安福望さんとクリスチャン・ラッセン】
プレシャスラブドルフィンフリーダムエンドレスドリーム。すなわち、愛、自由、夢。
【103、加賀田優子さんとおにぎり】
おにぎりをつくるみたいにわたしたちされてできたのかもしれないね
【104、介護百人一首と形式】
僕たちが何をするか、なぜそうするかなんて、いったい誰にわかるだろう。
【105、池田澄子さんとピーマン】
ピーマンに出会う方法はすくなくともふたつある。ひとつは、わたしの場所にピーマンを呼び込んでくること。ふたつめは、わたしじしんがピーマンになってしまうこと。
【106、樋口由紀子さんとジャック=マリー=エミール・ラカン】
「きみは、この地球が宇宙の精神病院だと思わないか?」
【107、佐藤みさ子さんとたたかい】
生まれたてですとくるんだものを出す
【108、榊陽子さんと悪意】
汝の虫酸を、汝のたてがみを、われに与えたまえ
【109、ひとり静さんとポ】
すべてのポのために。
【110、三谷幸喜さんとミュージカル】
もうお風呂の後、濡れた体でいつまでも歩き回らないよ。君の姪っこの誕生日には必ず電話を入れて、ミッキーマウスの声でハッピーバースデーを唄うよ
【111、鴇田智哉さんと人参】
ニンジンを並べてわかったこと。
【112、安福望さんと木】
どんなに緊張した場でも吐き気がして卒倒しそうな場でも、とにかく、はじまったら・おわる。どんなにそれが艱難辛苦の場所だって、はじまったら・おわる。それを私は勇気にしていこうと思う
【113、鶴見俊輔さんともうろく】
私は「でも」ということしかいえない。赤ん坊がいえるのはそういうことなんだ。「でも」が、私の生涯の著作になったということでいいんじゃないか。
【114、西尾勝彦さんとこたつ】
…こたつ主義とは何か…理想のこたつ生活…こたつと本…こたつとコーヒー…こたつとお茶…こたつとみかん…こたつと猫…こたつと湯豆腐…こたつとおでん…こたつと音楽
【115、山田露結さんと家族】
家族と生きるって、なんですか。
【116、最果タヒさんと死なない】
「生きる」ことではなく、「死なない」ことをきみのたたかう価値として。
【117、新・幻聴妄想かるたと不思議の国のアリスたち】
チュルチュルピー小動物に演説する私
【118、仲畑流万能川柳と爆笑問題】
「世界とお前の戦いでは世界に味方せよ」というカフカの言葉
【119、川嶋健佑さんとキキとララ】
ララは、鳥かごに閉じ込められたキキのところへかけよりました。「おい、弟よ! 魔女はやっつけた! あたしたち、助かったのよ!」「ほんとうかい! ありがとう、ララ」
【120、岡村知昭さんとAなのにB】
然るべく生きるべきなのに、然るべく生きられなかったら、泣いていい。
【121、新聞歌壇とアントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ】
彼の前歯が胸につまっていく。「ねえあの頃はよかったとは思わない?人生のなにもかもがまっすぐであったかくてむじゃきで幸せだった。なんだったのかしら」
【122、千春さんと夫への説得】
説得は、激しい。説得には、生きてゆくことの激しさがある。私がしにたくても、あなたがいるのだ。あなたの説得されなさの激しさのあなたが
【123、柳本々々さんと過剰性】
というのも、そのたびに、そのたびに特異に、そのたびにかけがえなしに、そのたびに無限に、死はまさしく《世界〈の〉終わり》だからである。
【124、樹萄らきさんとキャラ】
欠損と誇張を媒介として生み出されるのが「キャラ」=のび太なのだ。それゆえキャラ=のび太には内面がない。アトムの内面はアトムの髪型であり、のび太の内面は0点なのである。
【125、高橋順子さんとあなたに会ってこんなに遠くまで来てしまった】
あなたなんかと結婚するひとがいるとは思えないと人に言われたことがあります
【126、吉井勇さんと吉井勇さんの歌の引用を間違える谷崎潤一郎さん】
どこにもない(no-where)から、今・ここ(now-here)の世界へ
【127、疋田龍乃介さんと犬がひげのがん】
アリスはあっち側に行ったまま〈帰ってこられなくなるかもしれないわ〉と思ったので、その行為に名前をつけた。犬、と。
【128、山下一路さんと失意のアメフラシ】
何一つとして人から贈られたものはない。一切のものをあらたに獲得しなければなりません。現在と未来ばかりではありません。過去さえも新たに獲得しなければならないのです
【129、月波与生さんと本当に悲しい】
私は、あなたにかなしい縁を感じてゐる。
【130、パパ(ほんだただよし=本多忠義)さんとパパのことば】
「ねえ、真実を話して」「真実? ダースベイダーはルークの父だよ」
【131、Sinさんとおでん剥ぎ】
むかし、友達に、いくらこころが汚濁してても、身体はきれいだからあなたのこと好きだよっていったら、ふつう逆だよねっていわれたんだ
【132、曾根毅さんと巨人】
立ち上がった巨人への最後の一撃は、せつない。
【133、中村安伸さんとバターになった虎】
ものを書くというプロセスの核心にどのような暗黒の謎がひそんでいようともそこにはただ一つの企業秘密があるだけだ。それは君は生きのびなくてはならないということなのだ
【134、囲碁川柳と体液】
どんなときでも彼は爽やかに「デュフフコポォ」と笑ってくれた。「心配ないよ」と言って「オウフドプフォ」と微笑した。私を励ましてくれたときの彼の「フォカヌポウ」の笑顔を私は忘れない
【135、村井見也子さんとやがて近くにいるそれ】
現代川柳は、ていねいに、ぼんやりしている。
【136、広瀬ちえみさんとなんにも見ていない】
戻れないけれどどうぞ
【137、山川舞句さんと怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒】
怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒
【138、奈良一艘さんと鯖缶】
クリスチャン・ラッセンのこんな名言がある。「フォーエバー・ラブ」
【139、むさしさんとエネルギー噴出】
止めてくれどんどん人が好きになる
【140、中村冨二としっぽ】
しっぽは、何人称なんだろう?
【141、三宅やよいさんと鶫】
鶫って、読めますか?
【142、北山まみどりさんと少女マンガ】
そもそも恋愛状態の人間というのは、いろんな矛盾の中に置かれているといってもいいんです
【143、陣崎草子さんと蛇口】
「好きでしょ、蛇口。だって飛びでているとこが三つもあるし、光っているわ」とモネは言った
【144、藤本玲未さんとやつ】
「死なせたら死んだままだと気付かずにあなたにずっと話しかけたい」はあの星のことば
【145、橘上さんとイズミ】
イズミは寂しさで死んだ。その寂しさは数値化され、イズミの死んだときの寂しさは「1IZ」という単位で表現され、寂しさの致死量を計る基準値となった
【146、今井和子さんとネコバス】
猫と本って似ているよう気がする。向こうからはこない。時々仲が悪くなる。でも仲がいい時は変に仲がいい。わかったようなきもちになることがある。そして次の瞬間わからなくなる。
【147、種田山頭火とさみしい】
倒錯してしまった私(猫)には帰る場所なんてない。だから私はいつもさみしい。まっすぐな道なのに全然どこにもたどりつかない。たどりつけない。歩いても歩いても。また鞄に帰ってくる
【148、カニエ・ナハさんと改行】
改行するのはその行のところでことばの角を曲がるからです。ここを曲がったら、自分の知らないなにかがあるのではないかと思って、角を曲がるのです
【149、吉岡太朗さんと潜勢力】
よくわからない知らないひとがわたしがおしっこをするところを見にきてしかもよくほめる
【150、谷川電話さんと恋人】
恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の不死
【151、浅沼璞さんと桜の園】
あなたのものかもしれないかった桜の園がいまやわたしのものであるということ。
【152、芥川龍之介と芥川君が自殺した夏】
芥川君が自殺した夏は大変な暑さで、それが何日も続き、息が出来ない様であった。余り暑いので死んでしまったのだと考え、又それでいいのだと思った。
【153、ロマンシングサガ2と皇帝継承歌】
それに、だれにだって、あるだろう、やるしかないっていう気持になる時が。
【154、楢崎進弘さんとメロンパン】
次の世がメロンパンでもかまわない
【155、赤松ますみさんと光りなさい】
魔法だと思うこの世に生きている
【156、北川美美さんと中にどんどん入っていく】
いったい、私は、誰を待っているのだろう。はっきりした形のものは何もない。ただ、もやもやしている。けれども、私は待っている。大戦争がはじまってからは、毎日、
【157、きゅういちさんと反逆】
縁取りにぬるいファンタをたててゆく
【158、いなだ豆乃助さんと渦】
鳴門には縁もゆかりもない@
【159、生駒大祐さんと空と底】
花の中をゆっくりゆっくり歩いてゆかなくてはね
【160、柴田千晶さんと鋏】
複雑な穴と頭をめぐって
【161、廿楽順治さんと幼虫】
【ペンフレンド募集】字の書ける人ならどなたでも。顔をうしなった友だちになりませう。理想の
【162、川柳少女と五七五系女子】
そういえば私玉ネギだめだった
【163、徳田ひろ子さんと人】
野口五郎からのみんなへの問いかけ
【164、松井真吾さんと収拾のつかない空間】
向日葵のアジトで内緒の少女たちと遊べ
【165、河野聡子さんときみを呼ぶのは生きている者だけだ】
きみは長いあいだ呼ばれていると感じていた。とにかく段を踏まなくてはならない。自由にのぼったりおりたりできるわけじゃない
【166、寺山修司と中国⇄アフリカ】
初出のかたちは、サバンナの象のうんこよ聞いてくれつらいせつないこわいさびしい
【167、楳図かずおさんと美少女⇄蛇少女】
美少女の嘔吐がほしいな/裏悪水
【168、坂野信彦さんと律文】
日本語の発話の最小単位が二音であること。一音の語は、しばしば二音ぶんにのばして発音されます。たとえば「目見て」を「めーみて」、「絵かく」を「えーかく」というぐあいです
【169、飯島耕一さんと二人称】
来るべき古代にはきみは水をくぐるように生きることができる。来るべき古代にはきみは言語によって苦しまない。来るべき古代にはきみはきみとは別のものである
【170、田中槐さんと素粒子】
ニュートリノは他の粒子と相互作用しにくく私達のからだを毎秒毎秒ニュートリノは10超個以上もつきぬけてゆく。ニュートリノは空からぱちぱち降ってきて私達のからだを通り抜けてゆく
【171、佐藤弓生さんと幻想】
ながいながいあそびのはての生のはじまり
【172、川口晴美さんとシン・ゴジラ】
地下なのか夜なのか明かりというあかりの失われた場所で、おそろしいことがすばらしいことが起こるのをわたしは待ちました
【173、瀧村小奈生さんと木じゃないとこ】
そうですかきれいでしたかわたくしは
【174、米山明日歌さんと鏡】
鏡からわたしやわたしたちが帰ってくる
【175、荻原裕幸さんと文字禍】
この発見を手始めに、今まで知られなかった文字の霊の性質が次第に少しずつ判って来た。文字の精霊の数は、地上の事物の数ほど多い、文字の精は野鼠のように仔を産んで殖える
【176、岡部桂一郎さんと岡部桂一郎さん】
3に5を足せば桂一郎9になるなあ?そんなむずかしいこと聞かれても
【177、?さんと松茸】
壁を一枚へだてて、そこはもう、車がバンバン通ってる……壁がバタンて倒れたら、ここは、この坂を通る人や車から丸見え……フフフ……私、お化粧してこなかったことを悔やむかしら……。
【178、大岡信さんとさわる】
さわることはさわることの確かさをたしかめることか。
【179、鶴彬と戦争Ⅰ】
「驚いてはいけませんよ」と言いながら、そっと白いシーツをまくって見せてくれた。そこには、悪夢の中のお化けみたいに、手のあるべき所に手が、足のあるべき所に足が、まったく見えないで、
【180、塚本邦雄と戦争Ⅱ】
電車の中でもセックスをせよ戦争へゆくのはきっときみたちだから
【181、野沢省悟さんと中村冨二】
私の影よ そんなに夢中で鰯を喰ふなよ
【182、芦田愛菜さんと下の句の忘却】
「やって」と黒柳徹子は言った。
【183、河野裕子さんとあなたとあなた】
あなたとあなたに触れたい
【184、茨木のり子さんとわたしが一番きれいだったとき】
あなたが一番きれいだったとき、とんでもないところからいったい何が見えていたのか
【185、小久保佳世子さんと1】
一人称単数としてあなたの前へ
【186、萩原朔太郎さんと病気】
おわああ、ここの家の主人は病気です
【187、北野岸柳さんと密会】
歳時記の中で密会してみよう
【188、神野紗希さんとすぐそこにある神話】
ともかくむかしむかし、天から降り立ったコンビニな、それが変えたんだよ人類を。人類を、深夜小腹減ったって問題から救った、それから、夜道暗くてこれ心細いぞって問題
【189、与謝野鉄幹と斉藤斎藤さん】
「あなたと一緒になりたい」じゃなく、「あなたになりたい」になってしまったらどうしたらいいのか
【190、奥村晃作さんとボルヘス】
ここにはカテゴリーしかないので、百年後、やはり、中年のハゲの男が立ち上がる、立ち上がり大太鼓打つ。年齢も頭髪も体力もまったく変わらずに。
【191、金子兜太さんとアクセスポイントⅠ】
蝉を流れるスピリットと岩を流れるスピリットが、相互貫入を起こして染み込み合うと?
【192、小澤實さんとアクセスポイントⅡ】
本の山がこちらに崩れてきたときに、アクセスポイントを発見してしまう
【193、普川素床さんとアクセスポイントⅢ】
顔のスイッチを入れる 夜を消すのを忘れていた
【194、佐佐木幸綱さんとたつからだ】
のぼり坂のペダル踏みつつ子は叫ぶ「まっすぐ?」、そうだ、どんどんのぼれ
【195、村木道彦さんとするだろう】
「するだろう ぼくをすてたるものがたりマシュマロくちにほおばりながら」とは言うけれど、誰がするのか?
【196、前田夕暮さんとじっくり見る】
異常なぐらいじっくりと見る vs 顔を近づけ過ぎてだれだかわからない
【197、福島泰樹さんとバリケード・一九六六年のノルウェイの森】
あれはあれとして終わってしまってほしかった。「僕」と緑さんがあのあとどうなるかなんて、僕としては考えたくないし読者にも考えてほしくなかった
【198、野口あや子さんと大きな主体】
わたしは今大きな主体にさらされていることがわかっている。でも、あきらめて肯定する。でも、あきらめて否定する。だから、くびもとに錐が刺さろうとしている
【199、吉田恭大さんとむこう側】
最後の風景は、「名詞から覚えた鳥が金網を挟んでむこう側で飛んでいる」