2018年8月31日金曜日

DAZZLEHAIKU25[友岡子郷] 渡邉美保

  舟音を追うて舟音明易し    友岡子郷

眠れぬ夜を過ごしている耳に、舟音が届く。その舟音に続く舟音は、夜が明けていくのを気付かせる。舟は夜明けとともに沖へ向っていくのだろう。夏の夜明けは早い。次第に明るくなる空の色。新しい一日のはじまり。
穏やかに一定のリズムで進んでゆく舟音は、作者の心を引込むような親しい音にちがいない。潮風、波の揺れ、海の広さが目に浮かぶ。
「舟音を追うて舟音」のリズムの心地よさ、一句の力強さ。
夏暁の清々しさの中、舟音だけが聴こえる、シンプルな句の世界。舟音は読者の耳に届き、読者の心を引込んでいく。

  朝の舟梨のはなびらのせゆきぬ

  足もとに舟のあつまる涼夜かな

  夕風は舟の七夕笹をこえ


同句集中の舟の句はとても魅力的だ。

〈句集『葉風夕風』(2000年/ふらんす堂)所収〉