2014年12月15日月曜日

きょうのクロイワ 7 [大内登志子]  / 黒岩徳将


ひと癒えて今日も去りゆく鉄風鈴 大内登志子

淡々とした詠みぶりだが内容は非常に重たい。誰かの体が良くなることはもちろん喜ばしいことだが、残された自分のことを思うと手放しには喜べない。「鉄」が際立ち、仮名と漢字のバランスが非常に良く、その点が悲壮さと呼応している。精神病院へ入院中の作品だという

(第9回角川俳句賞受賞作「聖狂院抄」より)