2015年2月7日土曜日

今日の安井浩司 2  / 竹岡一郎


さまざまな蛇持ち寄るや雲の下        安井浩司

 蛇は魔であり、時に毒であり、智慧であろう。要するに、神秘なるものである。時に神に最も刃向かうものでもある。持ち寄るのは同志であろうが、蛇はその同志たちの魔であり毒であり智慧であり神秘であり反逆であろう。雲は大いなる迷妄を思わせるが、蛇を持ち寄るのだから、季は夏であり、迷妄といえども明るく高く照り輝いているのだ。

「汝と我」(増補安井浩司全句集435頁)