餅花のしなりて曾父母父母孫子 宇多喜代子
親族が集う景は新年詠としてはそれほど目新しくはない。しかし、「曾父母父母孫子」と並べることで、餅花の緑、桃色、白のように、家族が連なっている様子が見えてくる。
みんなのうた『だんご三兄弟』を彷彿とさせる句だ。ふと思い出したが、その昔「『だんご三兄弟』ヒットの秘訣」というテレビ番組を見たことがある。幼稚園に取材班が赴き、「○」「□」「△」が書かれた地面のうち、好きな場所に行くように園児に伝えると、ほぼすべての園児が「○」の床を選んだ。
丸き物体のイメージと人間は切り離せない。人間の顔が四角だったら、三角だったら、どんな世界だっただろう。少し悲しいかもしれない。丸で良かった。
『現代俳句』2016年1月号より