足裏の日焼見せ合ふ畳かな 川又憲次郎
足裏なんてなかなか焼けない。ビーチなんかでうつ伏せにずっと寝転んでいたのだろうか。「うわあ、こんなところまで焼けちゃってる」「私も」なんて言いながら畳の上で足裏を見せ合う、レジャーの後日譚。いや、海で遊んだ後の旅館かもしれない。どちらにせよ、足裏の日焼けを見せ合っている人たちは、いま一緒にいるだけでなく、日焼けをした場所でも一緒に行動していただろうということが容易に想像される。そして、ほっと一息ついている畳の上、藺草の香りを感じながら、仲睦まじく、リラックスした楽しい時間を過ごしているのだろう。
<角川『俳句』2014年11月号(第60回角川俳句賞候補作品『頭上』)所収 >