夏帽子母を休んでをりにけり 平田倫子
帰省だったり、旅行だったり。母が、母を休んでいる場面。ゆったりとした時間かもしれないし、はしゃいでいるのかもしれない。そんな母親らしからぬ母がまた、好きなのかもしれないし、愛おしささえ感じているのかもしれない。夏帽子の持つ純真無垢な少女らしさが、母に母を休ませ、純粋な一人の女性として、少女としての一面を引き出しているようにも思える。夏の家族の思い出に、こういう一ページがあるのも、またいい。
<角川『俳句』2014年11月号(第60回角川俳句賞候補作品『木の家』)所収 >